あるきっかけで、2000年から日本と東南アジアの往復が始まり、地元の人々の自立を応援することに…。NPOの協力を得ながら、ミャンマー人と生活を共にし、互いの得意技&共通点を発見しつつ、無くさないで欲しい現地の人々の心意気と生活文化、あつ~い東南アジアの様子をつづる手作り記。話題が一国だけで留まなくなってきたためリニューアルしました。

万能タナカ Thanaka

ミャンマーで大好きなものは色々ありますが、私としてはベスト5に入る日用品はこれ、「タナカ」です。これをカワイイという人もいれば、おばけみたいでなんじゃこりゃ、という人もいるでしょう。

こっぱずかしくてンなもん塗れるか!というあなた!!タナカはすごいんですよ。ミャンマー人が顔に塗り始めてから1000年以上の歴史があると言われていますが、色んな効能もあるんですよ。ひんやりして気持ちいいし。旅の恥はかき捨てともいいますし、チャンスがあればぜひとも一度つけてみてください。

日本でつけろとは言いません。(私は愛用してますが。。。)ミャンマーなど暑い国では、ロンジー、サンダルに続いて、これまた必需品ですってば。



この樹木片を硯のような石の上で水を使ってまさに硯で墨汁を作る要領で作りますが、クリーム色のペーストが出来上がります。

それを顔につけるのですが、おそらく皆さんは、ミャンマーに行ったことある方なら、または紹介写真やテレビ等で、こんな子ども達の顔をご覧になったことがあると思うのですが。


← こういうものです。

子どもの頃から女性ならおばあさんまで、男の子はニキビができる年齢ぐらいまでは使っているようです。

まず、つけるとひんやり気持ち良く、なんだか日焼けしない気分になる。ミャンマー人なら、虫刺されやケガ、肌荒れにもつけるし、夜寝るときにもつけます。顔だけじゃなく腕や首の後ろとか、どこでもつけてます。

ただ、服に付くと白くなってしまうのと(水で簡単に落ちます)、べったり塗るとひび割れた塗り壁のようにペリペリっと落ちてきます。

ちなみに、私の部屋やPCの周りにはタナカの粉があちこちに飛んでますので、気を付けないと大変です。ミャンマーに来た日本人に色々試してもらいましたが、見かけが嫌だと言い張る人以外は、つけて後悔した人はいません。肌が弱いとか、アトピーがある人も大丈夫どころか、かゆみが止まって涼しく寝られてよかったわ~と喜んでました。

これまた、ヤンゴンなどの都会では、だんだんつけない若者が増えているんですね。なんでかなぁ~。若者の常ですかね、どこか自分達の文化や習慣を恥ずかしがったり、捨てようとしたり、もったいないなぁ。。


タナカは、学名をHesperethusa crenulataというらしく、2012年タイで行われた薬学研究関係の国際会議で研究発表によると、それまでの研究でも、酸化防止やチロシナーゼ抑制(黒メラニンを抑えるとかで美白効果をうたう化粧品等に含まれている)、抗炎症性や抗菌効果もあることが分かっているということが書かれてあります。今回の研究発表では毒性が現れなかったことや、数々のお肌によいことの証明実験結果述べられているようですが、詳しくは原文が英文なのでご解読くださいませ。

【参考文献】
International Conference on Biological, Biomedical and Pharmaceutical Sciences (ICCEPS'2012) July 28-29, 2012 Pattaya (Thailand)
Effects of Hesperethusa Crenulata’s Bark Extract on Production of Pro-Collagen Type I and Inhibition of MMP-1 in Fibroblasts Irradiated UVB

ミャンマーサンダルが美しいわけ















おしゃれで可愛いパンネッ(サンダル)はミャンマー人の生活には欠かせないアイテムの一つ。ミャンマーに暮らす人なら、持っていない人はいないでしょうし、サンダル以外の履物を持っていない人もほとんどではないでしょうか。

雨季にはビニール製、乾季には布製と履き分けたり、ちょっと割高の皮製なら年中履けて長持ちする、とか、ゴムとスポンジの底によって滑りやすさも違ったり、古タイヤで作った草履もあったりして、ミャンマー人の話を聞くと、沢山揃えたくなります。

年間どれほど生産されているんだろうと思うぐらい国内あちこちどこででも手に入るサンダル。大きな工場で大量生産されていると思ったら大間違いです。

ほとんどが手作りなのですよ。サンダルに限らず、ミャンマー製のものは手作りのものがほとんどです。ただ、ミャンマーで買い物すると、安くて見栄えのするものは、お隣のタイ、中国といった国からの輸入品が多く、その種類も数も年々増えています。


ミャンマーの民主化は誰のためのものなのか、と思うこと近頃多くなってきました。自由や生活の安心はミャンマー人に得てもらいたいものです。ミャンマー人の人柄、国の資源や文化、そして手作りの良さ、どれも失ってもらいたくないものです。得ることには長い年月がかかっても、失うのは瞬く間であることは、人間には止めることができないものなのでしょうかね。






私たちがご縁のあるサンダル会社の内職を請け負ている所で、手作りする様子を見せてもらった時の様子です。

ここは、サンダルの会社がこの村に住む家や仕事場、食事を提供してくれているそうです。とはいえ、立派な社宅ということではありませんが、そこそこの安定収入があり、みんな安心して働けている様子です。

また、従業員全員が全工程を手作りできるように訓練をしているそうで、7人で2日かけて50足が作れるとか。誰かが休んでも他の全員で仕上げることができるということです。

検品や袋詰めは会社の事務所倉庫で行っていますが、会社の従業員も同じように会社敷地内に竹と木で作った簡易住宅があり、そこでみんな生活している様子でした。従業員の家族らしき子供たちも門の開け閉めや掃除など手伝いをしていました。









会社や内職さんのお話を元に、失礼ながら計算してみるに、とても儲かっているように思えない会社ですが、ミャンマーの若い人たちが手に職を付けられ、働いて安定収入があること、生活する場があり会社としても職員の管理をしやすく家族ぐるみで面倒をみる・・・、なんだか一昔前の日本社会に似たところがあるんですね。思わず、「私はロンジーにサンダル履きのミャンマー人が大好きだ!」と、内職さんに大声で伝えて笑われてしまいましたが、いや、ほんとに、素敵な文化だと思うのです。


ミャンマーサンダル~パンネッ

ミャンマーサンダルを履き続けて十数年。さすがに雪道にもどうぞ!とお勧めはできませんけれど、私は年中どこでもこのパンネッ(サンダル)を履いています。
履きつぶしてもお手頃なので気兼ねが全くありません。種類も豊富でサイズも色もたくさんあります。もちろん、ミャンマー人はロンジーにサンダルは必須、つまりほぼ全員日常に使っている物ということです。Gパンやミニスカート、スラックスを履いた人たちも近頃は街中で見かけるようになりましたが、それでも足元はサンダルだったりします。


しかし、こんなにおしゃれで可愛いサンダルならいいでしょ~♪
男物はシンプルですけれど、皮製やベルベット風の生地仕上げだったりして、素敵です。

ミャンマーでは、パゴダやお寺をお参りするには裸足が鉄則ですし、いつでもすぐに脱ぎ着できる靴でなきゃ本当にめんどう。また、高級ホテルに泊まれば別ですが、通常はトイレや風呂場、時に台所も、水を使うところの床は常に水浸し。汚いなんて言ってられません。水を避けて触らないようにすることは諦めて、いつでもさっさと水で足を洗っちゃえばいいんです。
サンダルなら、足洗うついでに履物も洗えるし、ミャンマーなら数時間で自然に乾いてしまいます。(雨期は別よ~~)








底の部分も色とりどりの布張りだったり、
生地にデザイン加工がしてあったり。
ゴージャスにビーズで飾られたものもあって
目移りしてしまうほど。

かわいい~ね♪

シャンコットンがいい

シャンコットンの店で扱われている生地は、糊でバリバリのものと、洗ってある柔らかいものとがある。わざわざ店のお姉さんが仕入れてから洗うのだそうだが、金額は同じ。

そういえば、カンボジアのシルクショールも、機織り機からショールとして仕上げられたもの、房のフリンジ始末ができたもの、どちらも同じ値段だと言っている。あまり"人件費"というものが考えられていないのかな、と思う。

人件費だけじゃない。雨季にはバケツをひっくり返すほどの雨量があるけれど、きれいな水がいつでもどこでもふんだんに、というわけにはいかない。時には井戸が干上がるような乾季もあるし。それでも、洗ったものは同じ金額。

カンボジアのセンターでも、糊でバリバリの生地を洗っているけれど、結構大変。洗濯機も使わず手洗いするのだから。





そして、色も落ちる。
何とか、酢や塩を使ったり、アイロンの温度を使ったり、色止めの努力はするのだけれど。

また、洗わなくとも、
←こんな風に生地に染ムラがある。
写真で分かるかしら。
向かって左のそで下部分がちょっぴり赤い。

それでもいい、と言って下さる方たちがいることは慰めにはなるけれど、納得はできない。
・・・が、今のところ改善策に行き当たらない。



ハギレで作ってみたウォレット。
ボタンホールはやっとできるようになったけれど、バイアス仕上げの小物が技術的にまだまだ難しい・・・。

これならどうだ!と作ってみたけれど。




2013年春新作のエプロンドレス。思い切ってシャンコットンをフルに使ってみた作品。
これまではロンジーにこだわりがあって、また、ミャンマーらしさを伝えたいという勝手な思いもあって、あまり作ってこなかった日本スタイル。

しかし、作ってみると、シャンコットンの優しさが表現できてなかなかいい感じ。スタッフ間では好評。



これまでバッグやメンズシャツにしか使ってこなかったシャンコットン。これからもっといろいろ作ってみることにしたい。

ミャンマー人メンバーは、あまりなじみのないスタイルには興味深々のようで、反応もおもしろい。普段自分達ははかないパンツ類や少々肌を露出するスタイルも、実は大喜びで試着している。



シャンコットン

勝手に我々が命名した生地に「シャンコットン」がある。
ミャンマーで仕入れられるミャンマーらしい生地の代表はロンジーだが、地方の民族衣装に使われるコットン生地もなかなか素敵である。

素朴なナチュラル感覚が好きな人にはたまらない温かさ、柔らかさがある、ごっついガーゼ(?!)のような生地だが、町はずれの工場や田舎の村で手織り、又はふる~~い年代物の日本製織り機で半手作業で織られている。




























日本の織機



素材は国内産の綿で紡がれた糸だけれど、機械も古く撚りが甘いのでざっくり柔らかだがやっぱり弱い。しかしながら、なんだか懐かしい手触り感は、他の生地では味わえない。近頃(見つけるのは難しくなったけど)の日本製の生地には素晴らしい技術進化が感じられ、さすがー、と嬉しくなってしまうこともあるけれど、どちらにもなぜか似た喜び感がある。

一方で、ミャンマーでもカンボジアでも市場に出回っているお手頃生地にそれは感じられない。そこそこレベルで収まる感じ。最後には、安いからまあいいや、かな。

何が足りないか、技術的なことは分からないが、やはり人の手間というか、努力というか、そういう意識が感じられるものは何でも同じかと。「心」になんとかこじつけたい主観的な意見でしかないかもしれないが、理屈はどうあれ、やっぱり好きなものは好きとしかいえない。
















もちろん、くら~い工場で、見るからに効率が良いとは言えない古くて巨大な機械でひっそり生産しているお姉さん達の姿やら、まる1日かけて移動しなけりゃたどり着けないような田舎で、カタカタと手織りしているおばあちゃんたちの姿をみれば、しみじみした気分にもなるかもしれないけれど。・・・そのように見れば、ね。


しかし、少なくとも自分には、どんなに大変でも悲壮感を感じさせられることがない、タフでつよ~いミャンマー人しかしらないので、どこまでも地道な彼女たちに、「おぉーー、がんばってちょうだいねー」と、応援したくなるし、「よーし、我らもがんばるぞー」と元気をもらって、どこか自分達と共通点を感じられるところから仕入れたいだけ。






ロンジーのはき方(女性・日本人用パターン)

縫製プロジェクトで作るロンジーは、外国人向けに仕立ててあるので、ずれたことさえも気づかずストンと落ちた後にありゃりゃ!ということがないロンジー。


ちょっとしたコツを覚えれば、着崩れせず、ウエストすっきり、腰高・足長・おしとやか?に見えるよう着こなせる。くるぶしまでの長さであわせるのが美しく、丈が長いせいか、冬は暖か、夏は涼しく軽快。筒状なので、めくれたり、はだけたりはしない。

1)ミャンマー人なら頭からかぶる。
我々は足から。
(?なぜでしょう…。自然にやっぱり、足から…だよな)













2)右前になるように、まず左側のひもをもって右の脇に合わせる。

<ポイント>
この時、スカートの開きを右の脇にあわせるようにする。フリーサイズなので、自分の体にあう位置を覚えておくと、きれいにさっさと着れる。









3)右を上にあわせて左脇に合わせる。
この時、紐を少し上にあげ気味にした後、外に向かってひねると裾がきれい!





左側も紐といっしょに、生地も少し上にキュッと持ち上げ、持ち上げた生地を下に巻き込むようにすると、裾がきれいにおさまる。

紐をウエストに巻いて、適当な位置で結び、
シャツやブラウスとコーディネート♪


ウエストすっきり、
後ろもすっきり♪












足さばきが気になるのも最初だけで、自転車に乗っても、少々お行儀が悪くとも、なぜだかおしとやかに見えてしまうロンジー。エキゾチックでどこか着物に似た美しさがある日本人に似合う民族衣装。

ロンジーがよい

ミャンマーの現地の人たちがはきこなすロンジーは筒型。長方形の布を二つに折った状態で縫ってあるだけ。女性は着物風に一方を(通常は)体の左脇に合わせてウエストに布の端を入れ込む。生地はぎゅ~っと引っ張ってねじ込む?感じですが、はきこなしているうちに体型にあった生地の伸び具合になっている。体型、サイズも全く選びません。

男性は、前で生地の両端をねじって止めてますが、若干人によって違ったり、しっかり止まる方法、前がすっきり見える方法から、短くはいたり、作業のときはパンツ状にしたりと自由自在。時には荷物を運ぶ際の風呂敷替わりにもなる。頭からひっかけて後ろに荷物を載せたり。

















また、暑くて乾季の数か月以外は湿気もたっぷりなため、そうそうずれてはこない。ずれたって、一瞬のうちにパッパっと直してしまう。あざやかー。

はきこなしは自由自在♪











子どもから、お年寄りまで…、田舎でも街でも。












老若男女、民族衣装、おしゃれ着から作業着まで!













こんなに素敵なロンジーだが、近頃はロンジーをはかない人が街中で増えている。かっこ悪いとさえ思っている若者も少なくなく、残念なこと。蒸し暑く照りつける太陽の元、ジーパンを腰からずらし裾をダボダボにして着こなし?歩いている若者を見ると、やめときゃいいのになーと勝手なことをつい思ってしまう。

手洗いしてもすぐ乾き、カバンにも小さくしまえ、涼しく快適でおしゃれな上、スタイルよく見えるロンジーが一番なのになぁ。

生地の卸市場でも、ロンジー店が減少傾向にある。ミンガラマーケットなどは数年前まで3フロア分ぐらいは全てロンジー屋だったのに、今は1フロアーの中でもロンジー屋を探す方が苦労する。また、ミャンマー製のコットンロンジーが減り、合繊、しかもナイロン混の明らかにどこかの外国から入ってきたようなロンジーしかなく、ミシン刺繍も質が悪い。

近頃は、国内産のものより○国製の生地が安くて良いから(自分は決して「質が良い」とは思わないが、パッと見たデザインがよさそうに見えるから?)と、ミャンマー製品が少なくなっている。これからますます世界とつながるミャンマーになっていくとともに、なくさないでもらいたいのは「本来の美しさ」。どこの国にも言えることだろうとは思う。我が国日本の反省点をつい投影して勝手なことを言いたくなる。



コースターって何?

㈱M社さまのご協力を頂けることになったきっかけは、コースター。会社のノベルティーに使うから何か作ってくれ、とご依頼を頂いた。
やったー!お仕事だよ~!っと縫製チームと歓声をあげたのは記憶に新しい。

しかし何よりも自分をうならせたのは、ご依頼頂いた「コースター」をメンバーに伝えた時だった。ああそうか、コースターとは何ぞや、というところから伝えなきゃいけなかった。喫茶店で見たことはある。確かに自分もミャンマーの料理屋で見たことはあるが、紙製のビール宣伝のためのもの、ぐらいかな。

ホテルのレストランではランチョンマットなら見たことありますけれど、コースターは酒も飲まないし、わざわざ店で、自分で袋を開けて湯に溶かすコーヒーミックスを頼んで飲もうとも思わないので、見たことないかなぁ。

説明をすると、「ああ、あれね~」とメンバーはうなづいていたけれど、ちょっと自分のイメージするものを作ってごらんなさいよ、とテストしてみた。

・・・・・・・・・・・・。
はい、まあ、こんな感じ・・・かな。
どんなものかは理解している者から、花瓶敷きともしかしたら間違えているかも、と思うサイズのものまでいろいろで。

1000枚を仕上げなければいけなかったので、効率よくそこそこに見えるものを考えて何とか決定したのはこちら。


ふーっつ。












簡単そうにみえて、細かい仕事、正確な仕事が求められる。柄の縫いわせ、縫って裏に返す作業も結構手間がかかり、きれいにアイロン掛けして端ミシン。2枚1組ということもあり、大きさをきれいにそろえて仕上げることをビシビシと。
1000枚セットで訓練させて頂いたかいあって、なんとかここまでできるようになる。

あーよかった、ちゃんとコースターになって。

嬉し楽し♪ロンジー生地仕入れ

カンボジアでは半年に1度、ミャンマーではこまめに4度ほど、縫製プロジェクトで生地を仕入れる。ミャンマーでは、かれこれ6年来のお付き合いになる民族織物の店に行き、お姉さんとああでもない、こうでもない、と色鮮やかな新作ロンジー(ミャンマーの民族衣装・腰巻スカート)生地を広げて品定めする。

ミャンマーらしい生地は、何と言ってもこのロンジー生地だが、おもしろいことに店で売っているのは2ヤード(1.8m)に切ってある。絶対に、切ってある。日常着のロンジーを生地で買ってすぐ縫えるように、切ってあるのだ。また、同じ色・デザインのロンジーは一つの店で、多くて4枚ぐらいしか手に入らない。卸マーケットで売られているのは、10枚1組だが、色が全部違うアソート売り。しかも適当なアソートなので、アソートを2セット=同じ色が2枚ずつとは限らない。

















もちろん、機械織りなので、工場に行けばロール状だとは想像するけれど、色も微妙に多数ある。これはきっと、おしゃれなミャンマー人が「あの子と一緒のロンジーじゃ嫌!」という女心じゃないかと思われる。と、言っても、街中の金持ち&若者以外は、全国どこへ行ってもそろいにそろってロンジースタイルなのだが。ロンジー以外は目立つ・・・し、最近はロンジーはかない子増えたな~と思うけれど、目立たないだけでやっぱりロンジーが主流。
















ロール生地もあるが、ほとんどは中国やタイなどからの輸入生地で、ミャンマーらしく美しい、カワイイ生地はやっぱりロンジー用である。このロンジー1着分(1.8m)で、約200~300枚分を一度に仕入れる。

当初は、ロンジーのみ作成。次第にこの1.8m内で作れるアイテムを考え、パンツ、ブラウス類といろいろできるようになってきた。生地を仕入れてきたら、この生地で何を作るか、一つ一つ決める。決めた生地で決めたものが決めた数だけ作られることをクリアするのに数年。



今では生地番号・色名・サイズを1,2日のうちにファイルに整理しネットで共有できるようになってきた!工場があるわけでなし、取引販売しているわけでもないので、何に必要、ということでもないけれど、一つ一つできることを増やしていくべし。






ボタンホールの奇跡

足踏みミシン・足踏みロックにはじまり、カンボジアに来て念願の工業用ミシンを2台手に入れた。おそらく2~30年ものと思われる中古で$250。台付、モーター付。これで足踏みから一気に効率ア~っぷ!と思ったが、怖くて使えない、とメンバー。

なるほど、使ってみるとペダルも何もかも結構な使い込み具合で、調子はよいが加減が難しい。ちょっとクセがある、といいましょうか。しかし、慣れてもらうしかない。

若手メンバーはさっさと使いこなせるようになったが、年配メンバーは、カンボジアでも停電があろう、と、念のために用意した足踏み工業用で背中を丸めながらもがんばっている。おぉ、なかなか、電動並みに速く動く足。ミャンマー人の足腰は強い!















さて、M社様からのご依頼を受けることになり、サンプルづくりを始めたのはよいが、ボタンホールの問題に直面。ミャンマーでは、ロック屋さんと同様、ボタンホール屋さんがある。これは、自分も学生の頃、家庭用ミシンの機能にはあっても手作り感いっぱいのボタンホールに満足がいかず、業者さんに持って行ってホールを作ってもらっていた。

現在の日本でも、ボタンホールは、業務用特殊ミシンはウン十万円するし、個人で持っている人はそういないであろう。家庭用ミシンでも、ボタンホール機能を使えばそこそこのものは出来るようになっているようではある。

しかし、アジアで手に入れられる家庭用中古ミシンは家庭用ポータブルの初代風のミシンばかり。やたらめったらコンピューター機能はついているが、ほとんど壊れている状態。ボタンホールもジグザグに毛が生えた程度で、直線縫いもぼちぼちしかできない、頼りない感じのミシンしかない。

一か八かで日本から取り寄せた、工業用ミシンに取り付けるボタンホールのアタッチメント。「どうせだめなんじゃないんだろうか」、と意識のどこかにあったかなかったか、数か月試さずにもいた部品をゴソゴソ取り出し、つけてみることに。

取説とにらめっこしながら、備品取付用の穴もゴミで埋め立てられているミシンと格闘すること1時間・・・。付いたはいいわ、糸が切れてどうにもならない。糸をとっかえひっかえしながら、おぉおおおーー!!いける、いける♪できたできた、立派なボタンほ~る♪奇跡なのじゃ。


自画自賛~自業自得

縫製プロジェクトの強い見方は、日本の協力NPO(2団体)。いわゆるスポンサー、ドナー、支援者である。10数年かけても、縫製プロジェクトだけにかかりきりにはなれない。他にも応援しなければいけない孤児院、村、プロジェクトも地道ながらも毎年継続して行われる。

その中で、現地の人たちと関わり、大事に育てる信頼関係や一人一人の成長に関心を持ちながらできることを全てやるのが自分の個人的なポリシーなので、縫製の方も、年に数回まとめて教える、チェックする・・・というペースでやってきた。

2012年からカンボジアに日本⇔アジアの活動拠点ができたため、縫製プロジェクトも半分をカンボジアに引っ越しさせ、そこでは縫製プロジェクトも通年継続して訓練できることになった。とはいえ、そこでも自分はずっと一緒にはいられない。自分は相変わらず日本とあちこちをウロウロ巡回しながら、頼まれもしない仕事に勤しんでいる。
















従って、協力NPOの協力は不可欠。縫製プロジェクトメンバーの様子や作品を日本の皆さんに紹介してくれたり、材料費や機材、ミャンマー人の滞在費の資金提供をしてもらったり。そうする中、これらNPO団体のみならず、企業からも応援を頂くことにもなってきた。

自分の「あちこちウロウロ戦術」がちょっとでも役に立っているんじゃないかと自画自賛。しかし、お仕事を受けてきては、採寸からパターンから、縫いも仕上げも納品チェックも。。。まだまだ全てにおいて未熟なため、徹夜してでも自分がやらねばならず自業自得。

それでも!こんな状況をご理解頂いたうえで、お仕事をさせて頂けることは、縫製プロジェクトにとっては奇跡ともいえる。

こんな我々に、全国に販路を持つ企業さんからのご依頼とは、はなはだハードルが高い。有難いけれど辞退かな、と思っていた矢先に、縫製プロジェクトのミャンマー人リーダーから、
「できません、は言いたくありません。チャンスはもらったらやってみたいです。会社にダメと言われてもいいから、サンプルだけでも自分達で作ってみたいですが、いいですか?」、
と、昭和時代のビジネスマンのような言葉を聞いて、(やってきてよかったな~)ウルウル感動。
・・・したのもつかの間。
徹夜でパターンを何度も作り直し。・・・やはり、こういう事か。
あぁ、そっか、リーダーは、「できません、は言ってほしくありません」、って言ったんだろうなぁ~っと悟った。

けなげに働く Made in Japan 中古ミシン

我々のミシンは全てMade in Japan♪
近頃は、通販する際、検索に必ず「Made in Japan」か、「日本製」を入れて、探したい製品名を入力する。それを求めているからでもあるが、検索に入力される言語の一つも社会現象の一つになる、と思い数年前から一人キャンペーンを行っている。

決して○○製品不買運動、というつもりはない。ただ、日本製品買運動であーる。東南アジアでミャンマー人はじめ、海外メンバーと関わり、日本語を教え、日本/日本製品の素晴らしさをさりげな~く自慢している自分としては、やはりこだわりがある、というところを見せなきゃ。


















実際、ミャンマーでもカンボジアでも、日本製の特に機械類は古くても壊れずよく働く。縫製プロジェクトでもミシン、道具類、糸やジップなどの部品もできるだけ日本製を探す。部品は日本から持ってこなければ、なかなか現地で見つけることは難しい。

しかし、ミシン針は「Made in Japan」と、とりあえず"書かれている"ものしか見当たらない。本当に日本製かどうかは100%保障できないけれど、ミシンがほとんど中古の日本製なので、それにぴったり合うのは日本製ミシン針かもしれない。

中古ミシン屋に行くと、ミシンのボディには、年季の入った会社名がペンキで入れられている。観慈の社名から中国ないし、中国系の会社で使われていたとみられる日本製工業ミシンが多くみられる。購入すると、ミシン屋が鼻歌交じりにシンナーで社名をふき取ってくれる。

「これはとれるけど、日本の会社名は取れないから大丈夫!」と、意味不明のセールストークで楽しませてくれる。調子がよさそうと思って仕入れ、使い始めると、ありゃ?糸立がないや、針の取り付け金具がサイズあってないみたい、抑え金がなかったぞ、ということが発覚する。

ここのミシン屋のおじちゃんができることぐらい、我もできるわい!と、見栄を張って、壊れたミシンから部品を代用したり、ある備品は安全ピンを使って作ったり。それでなかなかちゃんと機能しているので、「どうだ!」と自己満足していたけれど、、、

更に上手がいた・・・!ミャンマー人のミャンモーさんは、足踏みミシンのベルトを手作りしている!通常は皮製で店で買ってくるもの。車輪部分に直径5mmほどの丸い皮の紐を張って足ペダルとミシンを接続しているもの。それを、布ときんちゃく用に使っている紐で作っている。店の皮ひもは1か月に1本摩耗してちぎれてしまうけれど、手作りは長持ちするし切れたらいつでも自分で作れる、ということ。けなげに働くのは、Made in Japanの年代物中古ミシンと、年代物日本人(中古美品)だけではなく、ミャンマー人もなかなかやってくれるのであった。

"足踏みロック"を見たか?

足踏み"ロック"に衝撃を受けたのは6-7年前のことだったかな…。器用に足をパタパタ忙しく踏み込みながら(立って)、3本糸のロックをかける様子は、心なしか誇らしげで。

それは念願のロックミシンを手に入れた時の事。ミャンマーでは「ロック屋さん」というものが存在し、家や店で手作りする際に必要なロック(縫い代始末のミシン)を、機械を持っている人のところへ行き、お金を払って縫い代始末を仕上げてもらう。

・・・という話を聞き、奮発してロックミシンを買ってもらうことになった。(某NPO団体)ミシン屋に行くと当時の選択肢としては、中古の日本製ベビーロック3本糸か、インド製の新品3本ロック、中国製新品の3本ロックの3種類だったと記憶している。

ここは迷わず日本製!といきたかったのだけれども、「停電」が日常で、というよりも「通電?」がありがたく、毎日3時間程度が普通、半日つけば歓声をあげる、という状況だったため、電化製品はあっても絵に描いた餅状態なので、却下。若干高いのだけれど、彼女たちもなじみがあるというインド製に。

そして今は、カンボジアに拠点が出来、4本ロックの新品ロック(もちろん!電気製品)があります。日本から持ち込んだため、変圧器を通さなければいけないし、電気があることはありがたいけれど、電気代はものすごく高いのでヒーヒー言わなきゃいけない。

今となっては、足踏みロックはなかなかナイスなマシンであると思われる。もちろん仕上がり具合は3本と4本ロックでは運伝の差があるので、4本ロックの足踏みがあればいいかなぁ・・・。




巧みな"大体"

ミャンマー人といったら、情報や物がなくても、器用だったり、賢かったりすることから、洋服作りも「大体」でなんとなく作ってしまう。

パターンの存在を伝え、その通りに作ることを何度教えても、きよぅ~に、だいた~ぃにやってしまう。みんな、家に持ち帰って作るので、各々にパターンをコピーして持ち帰って作品を作ってくる。

















あれ~なんかサイズがいろいろ違っておかしいなぁ、と思って「全員、自分のパターンもって集合!」とやると、ありゃりゃ、なんじゃこりゃ?というパターンに変身している。

伝達ゲームならぬ、パターン写しを次々やっているうちに何センチも変わっていたり、変形してしまっている。しかし、サイズは異なれど、なんとなく同じような形になっているのがすごいところ。

更にすごいのは、パターンを見ると長さが全く違うのに、出来上がりはちゃーんと合っているところ。彼女たちらしいところを自然にそのままにしておきたい気持ち半分、いやいや、関心していては訓練になりませんから!と、ビシビシやるしかない。