この家は井戸水をくみ上げてますから、四六時中くみ上げる電気ポンプの音がウ~ンウ~ンと唸っておりました。蛇口ひねって、熱いシャワーが浴びれるだけ、ありがたや~、ありがたや!と言い聞かせつつ、その匂いと赤茶けた水で生活しておりました。
洗濯物も真っ白!には絶対になりませぬ。いつぞや、日本から来た人が草木染を行ったときのこと。日本では染には媒染としてマグネシウムやら鉄やらを使うそうですが、ここではそんなものが不要でありました。媒染を入れると黒く濁り、色が染まりすぎ。水道の水だけ使えばきれいに出る。しかも色落ち無!
あれ~、どういうこっちゃ?・・・あぁ、そうね、井戸水に鉄分か何かがすでにあるからかな。妙に納得して、このときばかりは、ここの水には感心しました…、が、人体も染まっておるんでしょうな。ここの住人達は、下痢になったって、「ま、下痢は日本にいたってなるし」と、あまり気にしない人たちですけれど。
そんなこんなの毎日がすぎ、今年に入ってこんな話がご近所さんから入ってきた。
水道はすぐ隣町まで来ているのに、この通りには引いてもらえない。いつまで待っても工事は進まないから、この通りの家族が金を出し合って工事をしてもらおうと思う、と。
簡単に言えば、うちも払え、ということ。そして、貧しい家族は少ししか出せず不足分があるから協力してもらえないか、ということ。
うちの人たちはみ~んな何ともないし、水道代タダだから今のままでいいけれど、皆さんが困っている、貧しい人たちが困っていると聞けば仕方ないっす。「中にはお金もっているくせに払わない人もいるから、この通りに水道を通したおりには、その家に引き込む工事は許可しない!」とのこと。ひょえー、こわ~。
おかしな話なんですよ、日本人の感覚では。しかしこれがカンボジアの現実です。ご近所さんに我々が騙されてる、ってことはないです。騙されてるとすれば、この国の人たちみんなかもしれず…。だとしても、何とか自分達の生活は自分達でよくするしかない、という地元の人々には気の毒です、ほんとに。
・・・というわけで、工事は更に2か月待たされ、再開されました。へ~~っ、これだけ?というぐらい、この道路の工事は簡単に終わり。しかし、各家に水道管を通す工事は、そこから更に1か月待たされました。
白はうちのホース。黒が水道管? |
へっつ?ホース? 何? これが水道管?
へーーー、…そっかぁ。
その工事は、一人のお兄ちゃんが畑を耕すように手で道路を掘り起し、このホース、じゃなくて、水道管?を通して、我が家はめでたく上水道?になったらしい。
うちの前に掘られた溝 |
前はいつまでもヌルヌルして、石けんを使えば水を日本の3倍は使わないといかんかったのでっす!
そして、洗った後が臭くない!いつもは洗っても手が臭く、てっきり犬のせいだと決めつけてましたが、いや~ん、ちがったわ♪石けんの香りです!!
そして、シャワ~。おぉー、水圧高い高い!あんなホース…、じゃなくて水道パイプなのに!いいじゃ~~ん。モーターの音ともおさらばし、サビのミストに包まれていた日々ともおさらば♪
気のせいか、シャワー後に鏡を見ると、いつもより白く見える。他のみんなもそうみたい。あれ?焼けてたんじゃないんだーっと、妙に感心・感動の1日でした。
この一連の出来事、やーっぱり変と思うでしょ?はい、変です。
たしか数年前に日本のODAで「浄水場」作って、市内の上水道をカバーしたって言ってたけどなぁ。あぁ、そう、言ってたよなぁー!
その施設をK国の企業が買って、営利目的に使うとかでひともんちゃくありましたなぁ。はい、ありました。それは中止され、これまで通り公営でやることになった、とニュースではやってましたけれど…。こんな風に、いろいろ方法はありますから~。そう、いろいろ方法はある。
ちなみに、ODAでは、支援したことはその国に活用してもらい、ある程度日本が援助したと認知された後は、その施設等がどんな風に利用されてもいい、と言っているそうです。が、ここのご近所さん達はそんな話、知ってるんだろうか。。。
日本政府の支援じゃ足りないところを日本の民間人に追加でやってもらう…、ってことかな。あぁ、そうかもな。はい、やりますよ、やってますって。
そうそう、カンボジアには、「この水は日本の技術で浄水された水です♪」と書かれたボトル水がプノンペンあたりのスーパーに売られてますけれど、日本の技術を高く評価して頂いてありがとうござんす。
でも、カンボジアのみなさん!もしかすると、その水買うなら、うちにきて水道飲んでもらってもいいかもよ~~。んーっと、うちも売るか!